第1回 最新子ども事情

2020年09月24日

このコラムを始めさせていただくにあたって

 今、子どもを取り巻く環境は大きく変わってきています。昨今の新型コロナウイルス感染の影響で、感染による重症化リスクの低いはずの子どもたちの登校がまず自粛対象となったのも記憶に新しいところです。このような子どもたちの登校自粛に対しては、集団生活をしないことによる精神発達に与える影響を鑑みて、こども環境学会として政府に声明を出したほどでした。
 ところで私自身の子どもとの接点は、大学卒業後になった小児科医としての外来でした。その後、比較的最近まで、大学病院で臨床心理士とともに、先天的な病気を持つお子さんと親御さんに対して、医学的、教育現場的な助言を行っておりました。
 そして現在、小児神経科医として、臨床心理士(今は公認心理師)の先生と一緒に、幼稚園や小学校、中学校に巡回訪問して、発達障害傾向のある幼児や生徒の先生や親御さんの相談にのっています。ごく最近、児童相談所にも定期的に訪問するようになりました。訪問した時はいつも、親に見放されてしまった子どもをどうしたら良い大人にできるかを考えています。
 このような立場から、自身が見て考えた「いまの子どもたちの様子や事情」をご報告していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

第1回 最新子ども事情」 に2件のコメント

  1. C.K より:

    小学生向けの学習塾を経営しています。学校を休みがちな子を数人受け入れておりますが
    HSP(ハイリーセンシティブパーソン)と位置づけされる繊細な子どもたちをそう呼ぶそうですね。
    とても傷つきやすく少しの刺激で集中力がなくなってしまうので対応に神経を使っております。
    HSPの子どももこちらの指導で改善することはありますか。どのように接すれば良いかアドバイスがあったらお願いいたいします。

    • 久保田 健夫 より:

      ご質問をありがとうございました。塾に来られているお子さんが繊細で少しの刺激で集中力がなくなってしまうとのこと、よくわかりました。
      このようなことは、注意欠損・多動性障害(ADHD)のお子さんなどでも起きやすいこと、例えば「授業中に校庭の向こうの道を焼き芋屋さんのトラックが通りかかると、黒板を見ないで窓の外が気になって、授業に集中できなくなってしまう」というようなことが起きることが言われてきました。
      エピジェネティクスの研究から発達障害のお子さんの脳の中では、「遺伝子の働きのエピジェネティックな抑制が効かず、その結果、脳の中で遺伝子たちの雑音が生じている状態」という理解があります。 
      もしそのような状態であれば、抑制させる薬はまだ完成していないので、今できることとしては、その子を集中させてあげやすい落ち着いた環境を提供してあげることが大切ではないかと思います。良い環境を与えていけば、その雑音も弱くなってくれる時が来るように思っています。今は、塾の中で、そのお子さんには特別な配慮になってしまいますが、刺激の少ない環境の中で勉強させてあげていただけたらと思います。

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