設立に際して

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設立に際して

 少子高齢化が進み、子どもの育て方や認知症の高齢者の増加が課題となってきました。その上、新型コロナウイルス感染の時代を迎え、拡大防止のための様々な活動の自粛による子どもや高齢者の心の病気も新たな課題として取り上げられるようになってきました。
 一方、最近の研究により、このような環境変化の身体の受け皿が、従来不変であると考えられてきたDNAなどの変化であることが分かってきました。詳しくは、DNAの上の飾り付け(化学修飾)が環境で変化し、その上にある遺伝子の働きを変えて、さまざまな病気を起こすことが判明しました。すなわち健康を維持するとは、DNA上の飾り付けであるエピジェネティクスを正しく維持することであることがわかってきたのです。
 さらにこのエピジェネティックなしくみは、環境による体質変化だけでなく、変化した体質を子孫に伝える役目も果たしていることがわかってきたのです。具体的には、使われている農薬などの化学物質による不妊効果が子孫にも及ぶことや、最近では子どもへの虐待がその子に発達障害傾向を引き起こすだけでなく、代々遺伝していく可能性が示され始めたのです。
  一方で、実験動物やヒトにおいて正常な身体のエピジェネティクスを維持するためには葉酸やビタミンが欠かせないことや、良い養育環境や向精神薬がいったん生じたエピジェネティックな異常を修復し、精神症状や障害を改善させ得ることもわかってきました。
 しかしながら、以上の結果の多くは動物実験に基づくもので、われわれ人にもあてはまることは、まだ十分には立証されていません。さらにエピジェネティックな遺伝子の異常が元に戻る原理はわかりましたが、具体的に元に戻す環境や手段は、これからの重要な研究テーマです。
 そこで我々は、このエピジェネティクスの考え方を医療や福祉、教育、保育そして家庭の現場でも適用することで、人々の健康のさらなる増進に貢献していきたいと考えました。
 しかしながら医者や研究者である我々だけでは十分にそれを実現することができません。そこで、ご家庭、保育、教育、福祉、そして医療の現場に追われる方にも参画していただき、この活動を実践していきたいと思っております。その情報交換の場として、ここに「健康エピジェネティックネットワーク」を提供させていただきます。
 ぜひ、多くの方にご賛同いただき、共に健康のために前進していけたらと思っています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

2020年10月8日
健康エピジェネティックネットワーク
久保田 健夫(代表)
澁谷 徹(副代表)
林 和彦(顧問)
堀谷 幸治(事務局)