番外編 (新型コロナ感染症関連1 うがい)

2021年04月21日

このコラムの番外編として、新型コロナ感染症について調べてみたことをかいてみたいと思います。

今、基本的な新型コロナ感染予防対策として、浸透しているのは、マスクと手洗いです。このほかにインフルエンザ、風邪など上気道の感染症予防として昔から「うがい」は特に日本では、推奨されてきました。

ところが世界的にみると、その効果がはっきりと証明されたものがほとんどなく、WHOなどの推奨項目から外されています。 ここで新型コロナ対策としてのうがいが有効かどうか考えてみたいと思います。

 

 うがいの効果について最もよく引用されるのは、里村一成らが2005年に発表した それぞれ約130人の3グループ(1.水道水のうがい1日3回以上 2.ポピドンヨード(イソジン)希釈液のうがい1日3回以上 3.うがいなし)について冬場の60日追跡調査した結果、「水道水うがいのグループは、うがいなしに比べて約4割感染率が減少した。一方、ポピドンヨード液のグループはむしろ感染率は上がって予防効果はみられなかった」というものです。

 しかし、その後の文献(Emma C Goodalら2014)では水道水のうがい効果は再現されなかったとされています。

 

ここで面白いのはなぜ、ポピドンヨード液のうがいが効果がなかったかです。よく言われるのは、「ヨード液によりのどなどの粘膜がダメージを受け、殺ウィルス効果よりも粘膜の防御低下があるため」という説です。実際、アルコールなど薬剤の中には粘膜の異物を排出する繊毛の運動を抑制してしまう作用がある(清水弘,1955)ようです。

ですから、薄めの紅茶や緑茶などウィルス不活性作用と繊毛運動を抑制しないものを用いれば少なくとも水道水と同等の効果が得られるのではないかと考えられ、実際そういった論文(Fukushima.D,2018)も発表されています。 

 

  2014年の論文の水道水うがい効果が見られなかった理由についてはよくわかりませんが、1)先の試験では1日3回以上のうがいに対し、1日2回のうがいしかしていないこと、2)乾燥が繊毛運動を低下させる(清水弘,1955)のですが、うがいは乾燥を防ぐ役目もあると考えられます。日本の冬場とUSAオンタリオ州の秋の空気の乾燥度などの条件の違いなどが可能性としてはあるかもしれません。

                          2021.4.21.

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