番外編 その3 潜在感染者の検知1
2021年07月11日
型コロナウィルスの感染者をいち早く見つけて隔離すること、あるいは自己検査
で早期に治療を受けることは感染拡大を抑制する最右翼の策と思われます。
よく見かけるのが37.5度以上の発熱をサーモグラフィーで検知して入場を制限する方法です。この効果はどれほどでしょうか?
これまでの感染症で見ると鳥インフルエンザで50-70%(Nishimura.H.,2011)、SARSでは100%(Sun.G.,2011)、潜在的な感染者をとらえていたのですが、今回の新型コロナ感染症では5%(V.A.Mouchtouri.,2020)、39%(P.Dollard.,2020)となってしまいます(1)。
これを向上させるために、これまでの額などの顔の部分的な温度分布を考慮した方法などが提案されています。下記の発熱例を見ても呼吸器感染症での温度は眼から、鼻にかけての温度が高いことがわかります。感染した新型コロナ感染症を識別する方法として、涙丘(目頭の中の部分)と額の間の温度差が0.55℃以上の場合を陽性とすることで82%の感染者を正確にとらえることができた((Martinez-Jimenez.,2020)との報告があります(2)。
非感染者 発熱感染者 (K.Kasor.,2021より)
ほかにも呼吸数などをマスク越しに温度センサーで読み取ることを加味して判定する方法なども提案されています(2)。
現在の温度測定システムより多少時間はかかるかもしれませんが、入場、入店するところで、このようなシステムを導入することで、今のような、酒類提供禁止や、時短営業制限を緩和することができるかも知れません。
参考文献
1.Kosar Khaksari et al., “Review of the efficacy of infrared thermography
for screening infectious diseases with applications
to COVID-19″ Journal of Medical Imaging 010901-3 Vol. 8(S1)(2021)
2. David Perpetuini et al. “An Overview of Thermal Infrared Imaging-Based Screenings
during Pandemic Emergencies” Int. J. Environ. Res. Public Health 2021, 18, 3286 (2021)
2021.7.11