第1回「クマムシの観察 その1」
2020年09月23日
これから、私のコラムでは、ごく身近なちょうど夏休みの自由研究でできるようなことをテーマに取り上げて皆さんにご紹介していきたいと思っています。
最初のテーマは、自分の趣味として10年以上続けている「クマムシの観察」についてご紹介します。
ところで、皆さんはクマムシをご存知でしょうか?
ひところ「あったかいんだから~」とか歌をネタに活躍していた「クマムシ」というコンビでご存知の方もあったと思います。
クマムシの名前の由来は緩歩動物門に属することからわかるようにのっしのっしと歩く姿からきています(体長は0.1㎜位ですが)。電子レンジや高線量放射線でも耐える最強の生き物としてご存知の方はかなりの専門家だと思います。
あまり知られていませんが、実はそこらへんにいる生き物なのです。よく見られるのは廃水溝やコンクリートのきれめなどの苔、用水近くの笹などの枯葉の中などです。私は枯葉の中で採取することが多いです。要するに、少し水分を持った、あるいは枯れていても雨などで水分を得やすい環境ということのようです。
私のやっている採取の仕方は簡単で、採集した苔や枯葉を使い捨てカップ(高さがあるのでシャーレより良いと思います.)などにいれて水を半分くらいまで注ぐ、1、2時間してから、苔、枯葉を捨て、濁った水が透き通ってくるまで半日くらいおき、底の沈殿した泥の上5㎜程度残して上澄みを別の入れ物に入れる(捨てない方が良いです。その理由は次回にお教えします)。といったところです。
僅かに残した水と残渣をスポイトで混合して(下図1)のような丸形容器にいれて、顕微鏡で観察します。私はスポイトと丸型容器は100円ショップの旅行用薬小分け容器セット(下図2)で間に合わせています。また私の使っているのは15年前にネット通販で1万円くらいで購入した中古の顕微鏡ですが、ホームセンターなどで2-、3千円で購入できるものでも十分だと思います。
まず是非クマムシを実際に採取して観察してみてください。とても楽しいですよ。元々は子供の自由研究のネタにと思ってやってみたのですが、10年以上続く趣味となるほどのめりこんでしまいました。
クマムシを見つけるポイントは、土粒、草のかけらなどに交じってもぞもぞ動くものを見つけることです。線虫はリズミカルに繰り返し運動、ワムシの仲間は主にピストン運動をしていますが、それとは異なり何か小刻みに不規則な運動をしているものが怪しいです。
また、仮死状態で身動きをせず漂っているものも見つかったりします(多くは翌日元気に動いています)。
楽しさの第一はまず見つけるのがなかなかむつかしく、やっと見つけたということ自体嬉しくなってしまいます。いうならばカブトムシを採集したような感じです。第二に見つけたクマムシの愛らしさだと思います。容器の水中は本来の環境とは異なるせいか非常に不器用にもがくように8本の脚を動かし、中にはごみに絡まって本当に身動きが取れなくなってしまうやつもいます。また、その辺のクマムシの多数派であるオニクマムシは眼点を持ち、愛らしいキャラクタと同じような表情を見せます。
私が自分ではじめて見つけたクマムシの映像を載せておきます。つぶらな瞳?と不器用にもがく姿が印象的です
実はクマムシにもエピジェネティクスがあると考えられます。一番の特徴は周り水分がなくなってくると「乾眠」あるいは「樽(タンと読みます)」と呼ばれる状態となり前述した高熱や高線量にも耐えられるようになります。
それではこれから、エピジェネティクスに関連するようなMy研究をご紹介していきたいと思います。あらためまして、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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